
コワーキングスペースの入退室や決済、スマートロックの解錠まで店舗の利用に必要な機能を一元化したサービス。
株式会社いいオフィス様
いいオフィス
いいオフィス様は、全国のコワーキングスペースや会議室をアプリから探し、QRコードでチェックインし、スマートロックの解錠から決済まで行えるサービスです。加盟店ごとに営業時間、料金体系、月額プラン、予約設備、無人運用のルールが異なるため、単に機能を増やすだけでは運用が複雑になってしまいます。バックムーンは2021年から開発チームとして参画し、ユーザー体験と店舗運用の両方を見ながら、プロダクト全体の設計・開発・運用を継続して担っています。
プロジェクト開始当時、いいオフィス様は営業チームを中心に加盟店を広げている段階でした。事業の成長に合わせて継続的にプロダクトを作り続ける体制が必要だったため、バックムーンが開発チームとして参画。要件整理からデザイン、実装まで横断して担当しました。
支援の中心に置いたのは、ユーザーにとっては迷わず使えること、店舗にとっては無理なく運用できることです。UXを再定義し、UIを含め、アプリ、管理画面といったすべてを再設計しました。
リリース後も毎週の開発ミーティングを続け、店舗からの要望、ユーザーからの問い合わせ、サーバー負荷、不具合、売上や利用状況に関わる改善を確認しながら開発しています。単発の納品ではなく、事業の変化に合わせてプロダクトを育て続ける支援方法です。
いいオフィス様は、営業チームを中心に全国の加盟店を広げていました。事業のスピードに対して、必要だったのは決められた仕様を実装する外部ベンダーではなく、現場で起きる課題を一緒に整理し、継続的に作り続ける開発チームでした。
バックムーンはその役割を担い、要件整理、システム設計、UIデザイン、Webデザイン、イラスト制作、iOSネイティブアプリ開発(Swift)、Androidネイティブアプリ開発(Kotlin)、ユーザー向けWebアプリ(React)、店舗・本部向け管理画面、バックエンド(Ruby on Rails)、インフラ構築までを横断して担当しています。
店舗数や利用者数が増えるほど、問い合わせ、不具合、例外的な店舗運用、サーバー負荷、管理画面の使い勝手など、日々見直すべきことも増えていきます。開発だけでなく、運用から見えてきた課題を次の改善につなげる体制を作りました。
以前のチェックイン方式は、各店舗にiPadを設置する前提でした。店舗が増えるたびに端末購入、設置、ネットワーク設定、充電管理、故障時の交換、OSやアプリの更新が発生し、特に無人店舗や小規模店舗では運用負荷が大きくなります。
そこで、店舗に掲示したQRコードをユーザー自身のアプリで読み取る方式へ変更しました。店舗側は専用端末を管理する必要がなくなり、QRコードを掲示するだけで運用できます。
QRコードを読み取ると、利用店舗、利用開始時刻、適用される料金ルール、利用中ステータスが確定します。ユーザーはアプリ上で利用中の店舗や現在料金を確認し、チェックアウト時に利用時間に応じた決済へ進む。店舗側の運用を軽くしながら、ユーザーには自然な入退室体験として見えるように設計しました。
いいオフィスの難しさは、加盟店ごとの運用が大きく異なることにあります。24時間営業、平日のみ営業、土日祝で営業時間が変わる店舗、特定日だけ短縮営業する店舗、祝日休業の店舗など、条件はさまざまです。営業時間は表示情報にとどまらず、チェックイン可否、予約可否、スマートロック解錠にも影響します。
料金体系も、ドロップイン、時間課金、ワンデイ上限、時間帯別料金、月額プラン、全店舗共通のプレミアムパスポートなど複数のパターンがあります。店舗側には細かな設定の自由度が必要ですが、ユーザーに複雑さをそのまま見せると、利用前の不安や操作の迷いにつながります。
そのため、管理画面では店舗ごとのルールを柔軟に設定できるようにしつつ、アプリでは「今使えるか」「いくらで使えているか」「次に何をすればよいか」が自然に分かることを重視しました。複雑な業務要件を裏側で吸収し、ユーザーには一貫した利用体験として届ける設計です。
無人運用では、スマートロック連携が重要な要素になります。ただし、アプリから鍵を開けられるだけでは十分ではありません。チェックイン、解錠権限、利用時間の計測、料金計算、チェックアウト決済がずれると、ユーザー体験も店舗管理も破綻してしまいます。
そこで、鍵の操作を利用状態の一部として設計しました。ユーザーはアプリでチェックインし、そのまま鍵を開けて利用を開始できます。途中退出や再入室でも利用中の状態を保ったまま操作できるため、実際のコワーキングスペース利用に近い動きになります。
店舗側は、管理画面で入退室履歴や利用中ユーザーを確認できます。防犯カメラとも連動し、チェックイン時刻に近い録画へ遷移できるため、入室人数や不正利用の確認もしやすくなりました。ユーザーの使いやすさと店舗の安心感を、同じ利用データでつなげています。
会議室や個室の予約では、店舗ごとの設備数、予約単位、料金、営業時間、既存の予約運用を考慮する必要がありました。15分単位の予約枠、設備ごとの料金、時間帯による料金変更など、裏側では細かな条件を扱いながら、ユーザーには空いている枠を選ぶだけの分かりやすい体験として見せています。
個室が多い店舗では、予約やチェックインのタイミングで空いている個室へ自動的に割り振る仕組みを入れました。店舗側が手作業で部屋を指定しなくても、アプリ上で利用する部屋を案内できるため、設備数が多い店舗でも運用が重くなりにくくなります。
外部予約サービスを併用する店舗では、Googleカレンダーを介して予約状況を連携しています。既存の運用を壊さず、ダブルブッキングを防ぎながら、いいオフィス上の予約体験を保つための設計です。
ユーザーアプリと店舗管理画面は、別々の画面でありながら同じ利用体験の表と裏です。ユーザーは店舗検索、地図表示、チェックイン、予約、スマートロック操作、チェックアウト決済をアプリで行います。一方で店舗側は、入退室、予約、月額契約、決済、設備、営業時間、防犯確認を管理します。
バックムーンでは、ユーザーに見せる情報と店舗側が管理したい情報を同時に整理しました。アプリでは、利用中の店舗、現在料金、次に必要な操作が分かることを優先。管理画面では、店舗スタッフや本部担当者が日々の運用で判断しやすいよう、ユーザーの状態と店舗設定がつながって見える構成にしています。
どちらか片方だけを最適化すると、もう片方の運用に負担が寄ります。ユーザー体験と店舗運用を両輪で見ながら設計することで、店舗が増えても運用しやすいプロダクトを目指しました。
プロジェクトは2021年から現在まで継続しています。毎週の開発ミーティングで、店舗からの要望、ユーザーからの問い合わせ、運用上の課題、売上や利用状況に関わる改善案を確認し、優先順位を決めながら開発しています。
新機能の追加だけでなく、既存機能の改善、サーバー負荷の確認、障害や不具合への対応、店舗運用に合わせた仕様調整も継続しています。営業チーム、運営チーム、開発チームが同じ方向を向けるよう、実装だけでなく、何を先に作るべきかも一緒に考えています。
バックムーンからは前津がCTO、山口がCDOとしていいオフィス様の役員にも就任しています。単なる受託開発ではなく、事業側の意思決定にも近い立場で関わり、プロダクトと事業の両方を前に進めています。